思いつき!

21 「ちょう」か「まち」か、「むら」か「そん」か?


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2001.1.27

●はじめに

 地方公共団体としての「町」「村」、沢山ありますが、その「町」の中に「まち」と読むものと「ちょう」と読むものがあります。「村」にも「むら」と「そん」があります。さて、これなんですが、人によって「まち」「ちょう」と読む人がいる…、みたいな次元ではなく、きちんと読み方は決まっているのです。例えば、石川県内、「郡」の下に来る「町」はすべて「まち」と読みますし、福井県はすべて「ちょう」と読むのです。

 これは都道府県ごとに決まっているのかというと、実はそうではなく、一つの県の中に「まち」と読む「町」と「ちょう」と読む「町」が混在している、ということもあるようです。では、それはどうなっているのか、調べてみました。

 なお、ここでは「郡」の下に来る、地方公共団体としての「町」「村」に限定させていただきます。例えば、「市」の下に来る「町」についても、金沢市内においてでも「まち」と「ちょう」が混在していますが、これについてはここでは扱わないことにします。

 なお、この文章は、掲載をしました2001年の状況で書かれております。その後、市町村合併により、以下の内容は大幅に変更されております。例えば、「町」をすべて「まち」と読む石川県でも、羽咋郡押水町(おしみずまち)と志雄町(しおまち)が合併して「宝達志水町」(ほうだつしみずちょう)、また、鳳至郡能都町(のとまち)柳田村(やなぎだむら)・珠洲郡内浦町(うちうらまち)が合併して鳳珠郡能登町(のとちょう)になる予定など、今までと違う分布を示すようになってきます。ただし、今のところそれに合わせて、以下の内容を変更する予定はありませんのでご了承下さい。(2004年12月26日追記)

 以下の内容で、北海道がすべて「町」を「ちょう」と読むことになっていますが、本記事掲載直後、茅部郡森町のみ、「もりまち」というように「まち」と読むことが分かりました。本稿作成時には参考資料では「もりちょう」となっており、それに従って集計しました。この「もりまち」の読み方については、諸説があり、どちらが正しいか分かりにくいようですが、森駅前の看板等でも「もりまち」と書かれていることから、「まち」と読むものとします。そのうえで、それを以下の内容に変更を加えますと、手数がかかりますので、変更は行いません。読み替えて御覧下さい。

●調べ方と…

 ということで、町村の読み方が、きちんと「まち」「ちょう」まで載っている資料を探していまして、見つけたのがGDSさん作成「あのまちこのまち」というWebサイトです。一応、このサイトに掲載されている読み方を集計するという形にしました。

 なお、このネタ、Yokochanさんもされようとしていたようです。お互い構想にあったネタがかぶってしまったということになるんですけど、すでにそれが分かったとき、私が取りかかっていたということで、こちらで扱わせていただくことになりました。それにしても、時としてネタがかぶってしまうんですね。気になるものがよく一致する…。

●まずはデーターを

 ということでこのサイト、前置きの次はいきなりデーターというのが得意なんで、今回もそうします。また、このサイト初(実験を除く)の「テーブル」を使用しております。読めないブラウザの方もいらっしゃるかもしれませんが、お許しください。

都道府県特別区 まち ちょう むら そん自治体数合計
 北海道 1 34 154 24 213
 青森県 1 8 33 1 25 68
 岩手県 1 13 10 19 16 59
 宮城県 1 10 21 38 2 72
 秋田県 1 9 50 10 70
 山形県 1 13 26 1 4 45
 福島県 1 10 52 28 91
 茨城県 1 21 46 17 85
 栃木県 1 12 35 2 50
 群馬県 1 11 33 26 71
 埼玉県 1 41 39 10 91
 千葉県 1 32 43 5 81
 東京都 1 23 26 5 8 63
 神奈川県 1 19 17 1 38
 新潟県 1 20 56 35 112
 富山県 1 9 18 8 36
 石川県 1 8 27 6 42
 福井県 1 7 22 6 36
 山梨県 1 7 7 30 20 65
 長野県 1 17 35 1 67 121
 岐阜県 1 14 55 30 100
 静岡県 1 21 1 48 4 75
 愛知県 1 31 47 10 89
 三重県 1 13 47 9 70
 滋賀県 1 8 41 1 51
 京都府 1 12 31 1 45
 大阪府 1 33 10 1 45
 兵庫県 1 22 66 89
 奈良県 1 10 20 17 48
 和歌山県 1 7 36 7 51
 鳥取県 1 4 31 4 40
 島根県 1 8 5 36 10 60
 岡山県 1 10 56 12 79
 広島県 1 13 1 66 1 5 87
 山口県 1 14 37 5 57
 徳島県 1 4 1 37 8 51
 香川県 1 5 38 44
 愛媛県 1 12 44 14 71
 高知県 1 9 25 15 4 54
 福岡県 1 24 64 1 8 98
 佐賀県 1 7 9 28 4 1 50
 長崎県 1 8 4 66 1 80
 熊本県 1 11 63 18 2 95
 大分県 1 11 31 5 10 1 59
 宮崎県 1 9 28 7 45
 鹿児島県 1 14 73 5 4 97
 沖縄県 1 10 16 27 54
47 23 671 732 1,254 486 80 3,293

●まずは「町」について

 ということでまずは「町」を見てみます。「まち」と読む県、「ちょう」と読む県、両者混在の県がありますが、地図で表すとこういう感じです。

「まち」と「ちょう」の分布を表した日本地図

 「まち」のみ存在する都道府県(13)→ 秋田県 福島県 茨城県 栃木県 群馬県 埼玉県 千葉県 東京都 神奈川県 新潟県 富山県 石川県 熊本県

 「ちょう」のみ存在する都道府県(20)→ 北海道 福井県 岐阜県 愛知県 三重県 滋賀県 京都府 大阪府 兵庫県 奈良県 和歌山県 鳥取県 岡山県 山口県 香川県 愛媛県 高知県 宮崎県 鹿児島県 沖縄県

 「まち」と「ちょう」が混在する都道府県(14)→ 青森県 岩手県 宮城県 山形県 山梨県 長野県 静岡県 島根県 広島県 徳島県 福岡県 佐賀県 長崎県 大分県

 ということなんですけど、両者混在している都道府県、結構あります。いずれにせよ、どちらかの方が多い、ということにはなるようです。そこで、混在する都道府県については、多い方で塗り分けすると以下の通りになります。

「まち」と「ちょう」の分布を表した日本地図

 一応、
 割と、東日本は「まち」、西日本は「ちょう」中心。→北と南に例外があるんですけど、境界ははっきりしている。ただし、両者混在の都道府県を考慮すると、そうとも言えない。
 割と、日本海側は「まち」、太平洋側は「ちょう」が多いような印象もある。→関東を除くと、結構太平洋側は「ちょう」でまとまっている。ただし、これも両者混在を考慮するとそうとも言えない。
 とまあ、西と東で何となく「重み」はあるんですけど、これが絶対的な境界線とも言えないです。とりあえず、言えることは…

町について、全国1,986町中、
 「まち」と読む「町」732
 「ちょう」と読む「町」1,254 ということで、63.14%の確率で、「ちょう」と読んだ方が正解。「ちょう」の方がやや多いだけで、圧倒的に多いわけでもないようです。

●次に「村」について

 「村」を「むら」と読むか、「そん」と読むか、これが別れてくるのは中国・四国・九州地方だけなんです。少なくとも関西以東は間違いなく「むら」と読みます。

 それでは地図を。ちなみに、兵庫県と香川県は「村」が存在しないようです。

「むら」と「そん」の分布を表した日本地図

「むら」のみ存在する都道府県→ 北海道 青森県 岩手県 宮城県 秋田県 山形県 福島県 茨城県 栃木県 群馬県 埼玉県 千葉県 東京都 神奈川県 新潟県 富山県 石川県 福井県 山梨県 長野県 岐阜県 静岡県 愛知県 三重県 滋賀県 京都府 大阪府 奈良県 和歌山県 島根県 愛媛県 福岡県 長崎県

「そん」のみ存在する都道府県→  鳥取県 岡山県 山口県 徳島県 宮崎県 沖縄県

両者混在→ 広島県 高知県 佐賀県 熊本県 大分県 鹿児島県

どちらもない→兵庫県 香川県

ということですが、とりあえずこれは、岡山・鳥取・徳島以西の話ですね。面白いことに、この混在状態と統一状態の境界にある兵庫県・香川県は「村」が存在しないんです。

 これも例によって、混在県を多い方で色分けしてみました。ただ、鹿児島県は5対4でほぼ互角なんです。多分、本土に関していうと「そん」がほとんどだと思うんですけど、一応これも「むら」が多いので、「むら」の色分けとさせていただきました。

「むら」と「そん」の分布を表した日本地図

とりあえず、「村」について、全566村中
 「むら」と読む「村」…486村
 「そん」と読む「村」…80村
85.86%の確率で「むら」が正解ということになります。

 

●まとめ?

 ということで今回は、ちょっとまとめがないです。分布は上記の状態です。意外なことに「混在県」が多かったんです。はっきり色分けできないものですね。

●究極の「混在県」

 お気づきでしょうか。「まち」も「ちょう」も、「むら」も「そん」も存在する都道府県。

「まち」と「ちょう」が混在→ 青森県 岩手県 宮城県 山形県 山梨県 長野県 静岡県 島根県 広島県 徳島県 福岡県 佐賀県 長崎県 大分県

「むら」と「そん」が混在→ 広島県 高知県 佐賀県 熊本県 大分県 鹿児島県

 はい。広島県・佐賀県・大分県。この3県についてはこのパターン4つとも存在してしまうんです。正しく読もうとすると大変ですね。

●あとがきと操作方法

 実はこのネタ、中学生の時から気になっていたんです。それからその疑問がさらに…ということはなく、何となく気になっていたんですけど、ふと、このサイトのネタにしようと思って調べてみたんです。

 それにしても、調べ始めてからここまで持ってくるために、あまり時間はかけていないんですね。どうやったかといいますと、
 1.「参考資料」としたサイトにある市町村名と、その読み仮名を、都道府県ごとになっているのでそれぞれコピーして、エクセルに貼り付ける。
 2.そうすると、漢字の列と読み仮名の列が別々に出来上がる。それに都道府県名を入れた列を用意する。そして、47都道府県分、連続して貼り付ける。
 3.文字列の終わりから○バイト分を表示する、という関数があるんです。それをつかって、「市」「町」「村」だけ表示させる列を作る。
 4.読み仮名の列をつかって、読み仮名の最後の1字だけを表示させる列を作る。
 5.3で表示させた列によって並び替える…そうすると「市」「町」「村」のグループごとに整列される。
 6.「5」で並び替えたもので、「町」と「村」のそれぞれの中で、「4」で作った列を基に並び替える…そうすると、「まち」と「ちょう」、「むら」と「そん」毎に並べ変わる。
 7.都道府県別に並んでいますが、そうでない場合は都道府県毎に並べる
 8.エクセルの別ファイルで、各都道府県毎に「市」「まち」「ちょう」「むら」「まち」「特別区」と並べて数を数える(エクセルの連番を埋め込む機能を使うと楽)

 ということでできたのがこのページ最初にお見せした表なんですけど、これをHTML化するにあたり、このサイトの方針、タグは自分で打つ、という方針どおり、打ってみました。はい。結構コピー、貼り付けを多用したんですけど、どうにかできました。

 それと地図ですが、例によって「まっぷっぷ」を活用させていただきました。割と楽でした。

 とまあ、そんなに時間はかかっていないんですけど、集計自体はこちらで行っているものです。


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